人事ご担当のみなさま、こんにちは。
岡山県を中心に企業研修や人材育成に関わるお仕事をしています、MORE+阪本です。

みなさまの会社では、お客様や社外の方々と直接お話をする立場の社員さんも多いことと思います。

営業職をはじめとして、総務や経理、人事部門もそうだと思いますが、その対応について
お客様からお褒めのことばや感謝の言葉をいただくこともあれば、苦情を受けることもあると思います。

もちろん、いろいろな研修や教育を社内で実施されていると思いますが、私が最近、
経験した事例で少しお話させていただきます。

【母の生前の契約】

母が亡くなり1年になります。
母の生前の契約で、内容について理解できないものがあり、コールセンターに問い合わせをしました。

高額であること、87歳の母が102歳まで払い続けるという契約期間です。
正直、遺族としては経緯や内容を具体的に知りたいと思いますが、みなさんならいかがでしょうか。

【1.信販会社の責任者の対応】

何度か電話をかけましたが、
「説明はしていないので、契約書のコピーを送ります、それを見てください。」
という対応に始まり、最終的には責任者という人と話をしました。

責任者
先日の件ですが、当社の方で検討させていただき、訪問してのご説明と保証人の字とは違うことの説明が
可能かどうかは、私の方からご説明した内容と変わらないので、訪問しての説明は控えさせていただきたい
という結論です。


説明責任はないということですか。訪問ではなく、私が貴社をお訪ねするとお伝えしました。

責任者
当社のご説明がお客様にはご納得いただけないという認識です。
当社としては、契約書をお送りして、金額についてはお振込みの用紙を見ていただいていますので、
説明をしていないということにはなりません。


紙を送ったということで、金額はこれです、母の契約通りに払ってくださいということですか。

責任者
そうです。


この契約を短縮して一括で払ったらどうなりますか、という質問もしましたが、それはどうですか。

責任者
総額を一括でということですか。
調べます。。。。
その場合は、少しお値引きがあります。


そういうことも含めて相談をしたいと言ってきましたが、契約書を送ることで契約説明の責任を
果たしたということですか。

責任者
契約がどうなっているかと聞かれるのと、金額を聞かれるのとは違いますから、
当社も聞かれないことには答えられません。
残額や契約期間を聞いてくださればお答えします。

法的な書面でいただいた場合は、それに従って回答させていただきます。

残念ながら、これは旧大手財閥系の子会社の信販会社の対応です。

【2.大手メーカーのお客様サポートセンターの対応】

しかし、この問題の発端になった販売店をもつ大手メーカーのお客様サポートセンターの
対応は異なりました。

信販会社とのやりとりをお伝えして、こちらの要望をお伝えしました。

①ひとり暮らしの高齢者への高額商品の長期契約にあたっては、生存期間(寿命)を考慮して、
支払いが可能な期間にもとづいて契約の可否を検討して欲しい。

②①の契約にあたっては、生存期間を超える契約をやむなく結ぶ場合は、本人の死亡後に
支払い責任のある保証人にも直接、説明や確認を行った上で契約を進めて欲しい。

③①の契約で、契約者が亡くなった場合、遺族もしくは相続人に契約内容を明示の上、
支払いについての説明・相談をして欲しい。(保証人と相続人が異なる場合もあるので)

担当者の対応

今回の当社の販売店の対応には配慮が足りない点が多く、お客様には大変ご不快な対応となり
申し訳ありませんでした。

本来、お客様のより良い暮らし作りのお手伝いをさせていただく立場でありながらも
当初の説明不足や配慮不足に加えて、問題を長期化させてしまったことを重ねてお詫び申し上げます。

信販会社の対応については、違う会社になるためこちらでは指導改善というわけにはいきませんが、
上司と相談の上、このようなご意見をいただいたことを共有したいと思います。

販売店においては、本部を通して、状況の確認などを行い、過剰な営業やいきすぎた行為がないように、
改めて社内での指導改善に努めてまいります。
私たちはお客様の声をもとに、日々の活動に励んでいます。

そのためにこのセンターはありますので、貴重なご意見を活かせるように、私から上司を通じて
社内の改善と取り組んでまいります。
このようなカタチでしか対応ができませんが、今後ともご愛顧いただければ幸いです。

思わず、私は
「あなたのように信販会社の責任者が言ってくださったら私も感情的にならずにすんだと思います」
と言ってました。

【両社の対応の違い】

もちろん事業内容が異なるので、それぞれの立場での対応と言えるのですが、コールセンターの
役割において、お客様との円滑なコミュニケーションを図ることは重要です。

信販会社の責任者には、直接お伝えしましたが、「何か言ったらお金を払わなくて良いでしょう、
と私が言い出すのではないかと身構えていて、寄り添ってもらえない感が半端なく強い
(ある意味、全否定から入る)。私たちは絶対正しいという対応。」

これでは、話しても無駄と思います。それが信販会社のコールセンターの役割、作戦なのかな
とまで思いたくなる対応でした。

顔の見えない電話対応の中で、相手の価値観やニーズ、要望を理解し、警戒心を和らげる
そういう計らいがあった会社なかった会社の違いです。
みなさんならどちらの会社を利用したいですか。

【ラポールの活用】

相手が何を重要として話をしているかを理解して対応すれば、相手は寄り添ってもらえた、
そんな気持ちになります。
その上で、意見を言っても距離感が近くなっていますので、相手も受け入れやすい状態です。

ところが、価値観やニーズに対して、否定から話を進めた場合、どうでしょうか。
正論であっても受け入れられなかった、跳ね返されたという気持ちになります。
距離はどんどん遠くなっていくでしょう。

つまり、まずは信頼関係、コミュニケーションを円滑にするということで
ラポールの活用が重要です。

【ラポールについて】

人事ご担当者のみなさまは、ラポールという言葉をご存知のことと思います。
参考:【図解付き】ラポールとは?形成方法や形成するためのテクニックをご紹介 |HR NOTE

ラポールは心理学用語でセラピストとクライアントとの間の、互いに信頼し合い、安心して
感情の交流を行うことができる関係が成立している、心的融和状態を表します。

相互信頼関係が注目される昨今、広く一般的にラポールと言う言葉が使われています。

このラポールは、単にお客様との関係性だけではなく、社内の1on1や採用面談などでも重要です。

私はアートセラピーのカウンセリングをするときに、このラポールを活用します。
みなさまのお仕事の中でもラポールを活用できる場面はたくさんあると思います。

ぜひラポールを活用して、貴社内、貴社と関わる方々との信頼あふれる関係作りに
取り組んでみてはいかがでしょうか。

相手の立場を考えた対応ができるかどうか、それが大きな違いを生むはずです。