—— 宝箱を描くワークから見えたこと
アートセラピーのワークのひとつに、
「宝箱を描こう」というものがあります。
参加者の皆さんには、自由に宝箱を描いていただきます。
箱の外側にどんな模様を描くか、中に何を入れるか……
そこには、その人が大切にしている“価値観”が自然と表れます。
中には「家族」や「健康」など、目には見えない宝物を描く人もいれば、
「成長」「仲間」「自由」といった、心の奥にある願いを描く人も。
私はこのワークを通じて、
“何を宝物と感じているのか”に気づくだけで、
人はとてもあたたかくなれるんだと感じています。
実は、私自身にも“宝物”に気づく転機がありました。
会社員時代、私は営業課長として、
日々「数字」を追いかけることに集中していました。
結果を出すためには何をするか。
どうやって売上を伸ばすか。
その答えは「行動量と戦略」だと思っていたのです。
でも、支店長として25億円の売上目標を持つようになったとき、
考えが変わりました。
それぞれの社員が実績を出せるかどうか。
そのカギは、数字ではなく“人”にあると気づいたのです。
部下の能力、性格、背景、価値観。
そのすべてを理解し、強みを活かせるように導くことが、
支店長である私の仕事だと心から思えた瞬間でした。
「数字」しか見えていなかった私が、
「人の心」を見るようになって、
はじめて本当の意味での“成果”が生まれた気がします。
あの時、私の宝箱には
「育てること」「信じること」「一緒に走ること」
そんな言葉がそっと入っていたのかもしれません。
今、目の前の人が大切にしている“宝物”はなんだろう。
それを見つける視点を、私たちは大切にしたいですね。
あなたの宝箱には、何が入っていますか?