「わかる」より、「わかろうとする」時間をつくりたい

~3時間の保育研修を準備しながら、あらためて思ったこと~

今、9月20日に行う保育研修の資料をつくっています。

いつもは90分ほどの研修をさせていただくことが多いのですが、今回は3時間。

最初にお話をいただいたときは、

「3時間、何をお伝えしようかな」

と考えていました。

でも、今回の保育研修の資料をつくりながら、だんだん楽しみになってきました。

3時間あるから、たくさんの知識をお伝えできるからではありません。

むしろ、

「教える時間」を増やすのではなく、

先生方自身が体験し、考え、話し合う時間をつくれる。

それが、今回とても楽しみなのです。


保育研修は「正しく覚える時間」ではなく「気づく時間」

今回の研修の最初に、先生方へお伝えしようと思っていることがあります。

それは、

「今日は、正しく覚える時間ではなく、気づく時間です」

ということ。

子どもの絵について学ぶというと、

「この色には、どんな意味がありますか?」

「こういう絵を描いたら、どう読み解けばいいですか?」

と、「正解」を知りたくなることがあります。

もちろん、色やカタチ、配置など、絵を見るための基本的な知識はあります。

でも、知識を覚えることだけが目的ではありません。

一枚の絵を見て、

「私はここが気になった」

「私はこう感じた」

「えっ、私は全然違うところを見ていた」

そんな違いに気づく。

同じものを見ていても、人によって見え方は違う。

まず、それを自分自身で体験してほしいと思っています。


体験する保育研修だから、わかることがある

今回の研修では、先生方自身にもいろいろな絵を描いていただきます。

「今日の気分は何色?」

そこからカタチを考えてみる。

家の絵を描いてみる。

宇宙人も描いてみる。

そして、自分の描いたものを見たり、ほかの人の絵を見たりしながら話してみる。

同じ「宇宙人を描いてください」というテーマでも、きっと一枚として同じ絵にはならないでしょう。

大きさも違う。

色も違う。

カタチも違う。

描く場所も違う。

それを目の前で見たとき、

「こんなに違うんだ」

ということを、説明を聞くのではなく、体験として感じてもらえると思います。

そして、それは子どもたちを見るときにもつながっていきます。


子どもを「わかる」って、どういうことだろう

保育の現場では、毎日たくさんの子どもたちと関わります。

同じ年齢でも、一人ひとり違います。

よく話す子。

なかなか言葉にしない子。

すぐ行動する子。

じっくり考えてから動く子。

絵だって同じです。

同じテーマで描いても、表現はまったく違います。

だから、

「この絵だから、この子はこう」

と決めつけるのではなく、

「この子は、どうしてこう描いたんだろう?」

と考えてみる。

そして、

「これは何を描いたの?」

だけではなく、

「この色、好きなの?」

「この子はどんな気持ちかな?」

と、絵をきっかけに話してみる。

絵を診断するためではなく、

その子をもっと知るために、絵を使う。

そんなことを先生方と一緒に考える時間にしたいと思っています。


今回、もう一つ体験してほしいこと

そして今回の3時間研修で、私自身が特に楽しみにしているワークがあります。

それが、

「伝える」と「伝わる」の違いを体験するワークです。

二人一組になって、一人があるものを言葉だけで説明し、もう一人がその説明を聞いて絵を描きます。

説明する人には見えている。

でも、描く人には見えていない。

言葉だけを頼りに描いていきます。

そして最後に、二つを見比べます。

おそらく、

「あれ?」

「そんなつもりで言ったんじゃないのに」

「私はこういう意味だと思った」

ということが起こるでしょう。

でも、それでいいのです。

上手に描くことが目的ではありません。

「伝えた」と「伝わった」は、同じではない。

それを、自分自身で体験するためのワークです。


保育の中でも、同じことが起きているかもしれない

これは、保育の現場でも毎日起きていることだと思います。

子どもへの声かけ。

保護者への説明。

先生同士の申し送り。

後輩への指導。

「ちゃんと伝えたのに」

と思っていても、

相手には違う意味で伝わっているかもしれません。

大切なのは、

「私は伝えた」

で終わるのではなく、

「相手には、どう伝わっただろう?」

と考えてみること。

子どもとの関わりも同じです。

大人は励ましたつもりでも、子どもにはプレッシャーとして届くことがある。

安心させようとして言った言葉が、違う意味で伝わることもある。

だからこそ、

「ちゃんと言ったから大丈夫」

ではなく、

相手がどう受け取ったのかを考える。

それも、相手を理解しようとすることなのだと思います。


3時間の保育研修だからこそ、「考える時間」を大切にしたい

90分の研修では、どうしても時間との勝負になります。

伝えたいこともたくさんあります。

ワークもしたい。

先生方の話も聞きたい。

でも、すべてを詰め込めば、今度は参加する方が考える時間がなくなってしまいます。

今回は3時間あります。

だからこそ、

私が3時間話し続ける研修にはしたくありません。

描いてみる。

感じてみる。

隣の人と話してみる。

違いに気づく。

「どうしてだろう?」と考えてみる。

そして、

「明日から、私はどう関わろう?」

まで、自分自身で考えてもらう。

そんな時間にしたいと思っています。


「気づく」だけでは、関係は変わらない

今回の研修では、

気づく



受け取る



言葉にする



伝え合う



関わりを変える

という流れを大切にしています。

子どもの変化に気づいた。

保護者の様子がいつもと違うことに気づいた。

同僚が困っていることに気づいた。

でも、

気づいただけでは、関係は変わりません。

そこから、

どんな言葉をかけるのか。

どう聞くのか。

どう伝えるのか。

そして、相手がどう受け取ったのか。

そこまで考えて初めて、日々の関わりが少しずつ変わっていくのではないでしょうか。


私も一緒に考える3時間に

研修というと、

「講師が教えて、参加者が学ぶ」

というイメージがあるかもしれません。

でも、今回の資料をつくりながら、私は少し違うことを考えています。

私が持っている知識や経験は、もちろんお伝えします。

でも、

先生方が毎日子どもたちと接する中で感じていること。

保護者との関わりで悩んでいること。

先生同士だからこそ分かること。

そこには、私が知らないこともたくさんあります。

だから、

「こうするのが正解です」

と私が答えを渡すだけではなく、

「どう思いましたか?」

「皆さんの園ではどうですか?」

「明日から一つ変えるなら、何を変えますか?」

と、一緒に考えたい。

そして最後に持ち帰ってほしいのは、たくさんの「正解」ではなく、

「この子のことを、もう少し知りたい」

「この人には、どう伝わったんだろう」

という問いです。

今回の研修の最後に、先生方へお伝えしたい言葉があります。

「わかる」より、「わかろうとする」。

子どもも、

保護者も、

一緒に働く先生も。

全部わかることなんて、きっとできません。

だからこそ、

わかろうとすることをやめない。

9月20日。

先生方と一緒に描いて、話して、笑って、考える3時間。

どんな気づきが生まれるのか。

今から、とても楽しみにしています。

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