9月1日を迎える前に、子どもの「いつもと違う」に気づける大人でいたい

~大切なのは、サインを探すことではなく、その子を見ていること~

もうすぐ夏休みが終わります。

この時期になると、私は毎年、子どもたちの心のことをいつも以上に考えます。

特に気にかけてほしいのが、夏休み明けの子どもの変化です。

新学期を楽しみにしている子どもがいる一方で、「学校に行きたくない」「友達に会いたくない」と、言葉にできない気持ちを抱えている子どももいるかもしれません。

夏休み明け前後は、子どもの自殺についても、私たち大人が改めて考えなければならない時期です。

だからこそ今、子どもに関わる大人の一人として伝えたいことがあります。

それは、

特別なサインを探すことより、「いつものその子」を見ていてほしい

ということです。


「SOS」は、わかりやすいとは限らない

私たちは「子どものSOS」と聞くと、

泣いている。

元気がない。

「学校に行きたくない」と言う。

そんな分かりやすい姿を想像するかもしれません。

でも、子どもが苦しいとき、必ず言葉で伝えてくれるとは限りません。

むしろ、

「心配をかけたくない」

「怒られるかもしれない」

「うまく説明できない」

あるいは、自分でも何が苦しいのか分からない。

そんなこともあります。

だから、

「何も言わないから大丈夫」

とは限らないのです。


子どもの変化で大切なのは「いつもと違う」

では、何を見ればいいのでしょう。

私は、

その子の「いつもと違う」を見てほしい

と思っています。

たとえば、

いつもよく話す子が、あまり話さなくなった。

反対に、妙にはしゃいでいる。

食欲が変わった。

眠れていないように見える。

イライラすることが増えた。

好きだったことをしなくなった。

学校の話題になると、急に黙る。

もちろん、一つ当てはまったからといって、何か問題があると決めつける必要はありません。

暑さで疲れているだけかもしれない。

夏休みで生活リズムが変わっているだけかもしれない。

大切なのは、

「この行動には、こういう意味がある」

と決めつけることではなく、

「あれ?いつもと少し違うな」

と気づくことです。


絵にも「いつもと違う」が表れることがあります

私は「子どもの絵」心理カウンセラーとして、子どもたちの絵に触れています。

絵も同じです。

いつも明るい色をたくさん使っていた子が、急に違う色を選ぶようになった。

画用紙いっぱいに描いていた子が、とても小さく描くようになった。

やわらかかった線が、急に強くなった。

描くことが好きだった子が、「描きたくない」と言うようになった。

だからといって、

「黒い絵を描いたから心配」

「小さな絵だから問題がある」

ということではありません。

一枚の絵だけで、子どもの心を決めつけることはできません。

大切なのは、その子がこれまで描いてきたものと比べたときの「変化」です。

絵は診断するためのものではなく、

子どもとの対話を始めるきっかけの一つ

だと私は考えています。


気づいたとき、すぐに「なぜ?」と聞かなくてもいい

「いつもと違う」と感じたら、大人は心配になります。

そしてつい、

「何があったの?」

「学校で何かあった?」

「どうして行きたくないの?」

と聞きたくなります。

でも、本人にもまだ言葉になっていないことがあります。

そんなときは、

答えを急がなくてもいい。

「最近どう?」

「ちょっと疲れてる?」

そんな柔らかな声かけでもいい。

あるいは、

「話したくなったら、いつでも聞くよ」

と伝えて、待つことも大切です。

話してくれたら、すぐに答えを出そうとせず、

「そうだったんだね」

と、まず受け止める。

子どもが必要としているのは、正しい答えよりも、

「ここなら話しても大丈夫」

と思える場所なのかもしれません。


親だけが気づかなければならないわけではありません

そして、もう一つ伝えたいことがあります。

子どもの変化に気づく役割を、親だけに背負わせないでほしいのです。

毎日一緒にいるからこそ、気づきにくいこともあります。

先生だから気づけること。

祖父母だから気づけること。

習い事の先生だから気づけること。

近所の人だから気づけること。

友達のお母さんやお父さんだから気づけることもあるでしょう。

一人の大人がすべてを見守るのではなく、

一人の子どもの周りに、気にかけてくれる大人が何人もいる。

そんな社会であってほしいと思います。


「大丈夫?」と聞ける大人でいたい

大人も忙しい毎日を送っています。

仕事。

家事。

子育て。

自分自身のことで精いっぱいの日もあります。

だから、子どもの小さな変化をすべて見つけることなんてできません。

それでも、

「あれ?」

と思ったときに立ち止まることはできます。

そして、

「大丈夫?」

と声をかけることはできます。

たとえそのとき、

「大丈夫」

と返ってきたとしても、

「あなたのことを見ているよ」

というメッセージは届いているかもしれません。


9月1日を迎える前に

新学期まで、あと少し。

今、大人にできることは、

子どものSOSを必死に探すことではないと思います。

特別な心理学の知識がなくてもいい。

子どもの心を完璧に理解できなくてもいい。

ただ、

いつもの表情を知っている。

いつもの声を知っている。

いつもの絵を知っている。

いつものその子を知っている。

だからこそ、

「いつもと少し違う」

に気づくことができます。

もし気づいたら、

問い詰めるのではなく、そばにいる。

話したくなったときに話せる場所をつくっておく。

そして、大人だけでは抱えきれないと感じたら、学校や専門機関など、誰かにつなぐ。

それもまた、大切な「気づく力」だと思います。

9月1日を迎える前に。

家庭にも、

学校にも、

保育や教育の現場にも、

地域にも、

子どもの「いつもと違う」に気づける大人が、一人でも増えますように。

そして何より、

子どもたちが、

「ここにいていい」

と思える場所が、一つでも多くありますように。


子どもの「言葉にならない気持ち」に気づくために

私は保育園・幼稚園・学校などの教育現場で、「子どもの絵」を一つの入口として、子どもの変化に気づく視点や、子どもが安心して話せる関わり方をお伝えする研修を行っています。

大切にしているのは、絵から子どもの心を決めつけることではありません。

「いつもと違う」に気づき、そこから対話につなげること。

子どもの心の小さな変化に気づける大人を、家庭だけではなく、保育・教育現場や地域にも増やしていきたい。

そんな思いで研修や「子どもの絵」心理カウンセラーの養成を続けています。

研修・講座についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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