「研修より数字が大事」と思っていた私が、管理職になって気づいたこと

~数字をつくるのは、結局「人」だった~

10月になり、あらためて「管理職の人材育成」について考えています。

12月決算の会社にとっては、第4四半期。
今年の目標達成に向けて、いよいよラストスパートに入る時期です。

個人にとっても同じかもしれません。

年の初めに、

「今年はこれをやろう」
「こんな一年にしたい」
「ここまでは達成したい」

それぞれに思い描いたものがあったはずです。

今年も残り3か月。

できたこともあれば、まだ途中のこともある。

思った以上に進んだこともあれば、予定どおりにはいかなかったこともあるでしょう。

そんな10月になると、私は人材業界で働いていた頃の自分を思い出します。

管理職の人材育成について話し合う研修

「研修より、まず数字でしょ」と思っていた頃

若い頃の私は、

「研修より、まず数字でしょ」

と思っていました。

研修が必要ないと思っていたわけではありません。

でも現場には、目の前の数字があります。

売上がある。
目標がある。
達成しなければならない数字がある。

研修を受けている時間があったら、お客様のところへ行った方がいい。

一件でも多く電話をした方がいい。

そんなふうに考えていました。

自分自身が頑張ることには、それなりに自信もありました。

自分が動けばいい。
自分が頑張れば、数字はつくれる。

そう思っていたのだと思います。

管理職になって、それでは数字がつくれなくなった

ところが、管理職になって状況が変わりました。

自分一人がどれだけ頑張っても、それだけでは組織の数字はつくれません。

自分が100%、120%頑張ったとしても、それには限界があります。

チームとして成果を出すためには、メンバー一人ひとりが力を発揮できなければならない。

そこで初めて、

「人を育てることが、数字をつくることなんだ」

と気づきました。

もちろん、最初からそんなにきれいに理解できていたわけではありません。

どうしたら動いてくれるんだろう。

どう伝えればわかってもらえるんだろう。

同じことを伝えているのに、なぜ人によって受け取り方が違うんだろう。

どうすれば、この人の力をもっと引き出せるんだろう。

数字を追いながら、そんなことを考える時間が増えていきました。

そして少しずつ、

数字と育成は、どちらかを選ぶものではない。

むしろ、

数字をつくり続けるために、人を育てることが必要なんだ。

そう思うようになりました。

管理職の人材育成は、数字と別のものではなかった

ここから、管理職の人材育成に対する私の考え方も変わっていきました。

以前は、

研修に参加する時間があるなら、仕事をした方がいい。

そう思っていた私が、

人が学ぶ時間、育つ時間をつくらなければ、組織として成長し続けることはできない

と思うようになりました。

研修は、仕事を止める時間ではなかったんです。

一度立ち止まって、自分の仕事を振り返る。

自分の関わり方を振り返る。

ほかの人の考えを知る。

自分では当たり前だと思っていたことを、違う角度から見てみる。

そして、そこで気づいたことを現場に持ち帰る。

研修で学んだことが、次の日から全部できるようになるわけではありません。

でも、

「明日は、ちょっと声のかけ方を変えてみよう」

「もう少し相手の話を聴いてみよう」

「この人には違う伝え方をしてみよう」

そんな小さな変化が一つ生まれれば、それは人が育つきっかけになる。

私はそう思うようになりました。

数字をつくっているのは、結局「人」

売上も、目標も、成果も。

最終的につくっているのは「人」です。

どれだけ立派な目標を掲げても、

その人が疲れ切っていたら。

職場の人間関係に悩んでいたら。

上司に相談できずにいたら。

家庭のことで心配を抱えていたら。

「大丈夫です」と言いながら、本当はギリギリだったら。

持っている力を十分に発揮することは難しくなります。

30年間、人材の仕事をしてきた中で、私は何度も「大丈夫です」という言葉を聞いてきました。

そして、そのあとに退職する人も見てきました。

だから今は、言葉だけではなく、その人の状態を見ることがとても大切だと思っています。

「人を見ること」と「数字を見ること」は別々ではない

私は、

「数字なんて気にせず、人を大切にしましょう」

と言いたいわけではありません。

企業である以上、数字は大切です。

管理職が目標に責任を持つことも当然です。

私自身、その立場を経験してきたからこそ、その厳しさもわかります。

だからこそ、

目標を達成したいから、人を見る。

なのだと思います。

数字が落ちてから考える。

離職者が出てから考える。

チームの関係が悪くなってから考える。

そうではなくて、

「最近、ちょっと元気がないな」

「いつもより口数が少ないな」

「最近、相談に来なくなったな」

そんな小さな変化に気づく。

数字にはまだ表れていない変化を、少し早く受け取る。

それも、管理職に必要な力なのではないでしょうか。

管理職になったからこそ、わかったこと

振り返ってみると、私にとっての管理職の人材育成は、「教えること」だけではありませんでした。

若い頃は、自分が頑張って成果を出すことが仕事だと思っていました。

でも管理職になると、自分が成果を出すだけでは足りません。

自分より仕事のできる人を育てること。

一人ひとりが自分で考えて動けるようになること。

困ったときには「困っています」と言える関係をつくること。

そして、それぞれが持っている力を発揮できる環境をつくること。

「自分が成果を出す」から、「みんなが成果を出せる状態をつくる」へ。

管理職になって、私自身の役割が変わったのだと思います。

だから、今の私は研修をしています。

研修をすることそのものが目的ではありません。

そこで何かに気づき、明日からの関わりがひとつ変わること。

その小さな変化が人を育て、チームを育て、やがて組織の力になっていく。

今は、そんなふうに考えています。

残り3か月。数字と一緒に「人」も見る

10月。

目標達成に向けて、ここからさらに忙しくなる会社も多いと思います。

数字を見る。

進捗を見る。

計画を見直す。

もちろん、それは必要です。

でも、その横で、

その数字をつくっている「人」も見る。

「頑張れ」と言う前に、その人が今どんな状態なのかを少し見る。

そして、

この人がもっと力を発揮するために、自分には何ができるだろう。

チームが成長するために、今どんな時間が必要だろう。

そんなことも考えてみる。

昔の私に、

「研修より数字が大事でしょ」

と言われたら、今の私はたぶん、

「うん。数字は大事だよ」

と答えます。

そして、そのあとに、

「だからこそ、人を育てることも大事なんだよ」

と伝えると思います。

今年も残り3か月。

管理職の人材育成は、目標達成とは別のところにあるものではありません。

数字と、その数字をつくる人。

どちらも大切にしながら、今年のラストスパートを考えてみませんか。


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