苦情対応でリーダーが最初にすべきこと

~部下を守ることと、組織の信頼を守ること~

苦情対応には、リーダーの姿勢が表れる

先日、ある出来事を通して、あらためて「リーダーのあり方」について考える機会がありました。

30年間、人材業界で多くの人と関わり、管理職として組織を預かってきた私ですが、今でも人との関わりの中で学ぶことがあります。

今回も、そんな経験のひとつでした。

ただ、正直に言えば、少し残念な気持ちが残る出来事でもありました。

苦情を伝えたら、別の話が返ってきた

きっかけは、ある組織での手続きに関する行き違いでした。

私としては、すでに意思を伝えていたつもりだったのですが、その後の手続きに反映されていないように見える状況がありました。

そこで、経緯を確認していただきたいという思いから、苦情をお伝えしました。

私が知りたかったのは、とてもシンプルなことです。

何が起きていたのか。

なぜ、そのような状況になったのか。

そして、今後どのように対応していただけるのか。

それだけでした。

ところが、最初に届いたリーダーからの返信は、私が伝えた問題とは違う方向に進んでいるように感じられました。

組織に対して、これまでどのような貢献をしてきたのか。

もっと自分から相談すべきだったのではないか。

そんな趣旨の言葉が並んでいました。

もちろん、私自身の認識や伝え方にも、改善すべき点があったかもしれません。

それでも、手続きの経緯について十分な説明が示されないまま、こちらの姿勢を問うような内容が返ってきたことには、戸惑いを覚えました。

私は、誰かを責めたかったわけではありません。

何が起きたのかを知りたかったのです。

今回の経験は、苦情対応におけるリーダーの役割を考えるきっかけになりました。

苦情を受けたとき、最初にすべきこと

30年間、人材の仕事を通して、さまざまな相談や苦情を受けてきました。

もちろん、すべての苦情が正しいとは限りません。

思い違いもあれば、認識の違いもあります。

だからこそ、大切なのは、まず相手の話を聴き、事実を確認することです。

「そのような状況だったのですね」

「まず、経緯を確認させてください」

その一言があるだけでも、相手の受け止め方は変わるのではないでしょうか。

苦情を伝えた人の主張を、すべて認める必要はありません。

でも、相手が何に困り、何を問題として伝えているのかを理解することは必要です。

相手の言い分を認めることと、相手の話を受け止めることは違う。

私は、そう考えています。

部下を守ることは、部下を正当化することではない

今回、特に考えさせられたのは、リーダーが仲間を守ろうとする姿勢でした。

私は、部下を守ることはリーダーの大切な役割だと思っています。

自分の部下が批判されれば、守りたいと思う。

その気持ちは、管理職を経験してきた私にも理解できます。

ただ、部下を守ることと、部下の対応を無条件に正当化することは、同じではありません。

部下の話を聴く。

相手の話も聴く。

何が起きていたのかを確認する。

そして、必要であれば改善する。

それは、誰かを責めるためではありません。

組織として同じ問題を繰り返さないためです。

部下を守るとは、問題があれば一緒に向き合い、成長につなげること。

苦情対応でリーダーに求められるのは、部下を一方的に守ることではなく、双方の話を聴き、事実を確かめる姿勢ではないでしょうか。

別の担当者からの説明で、ようやくわかったこと

その後、別の担当者から、手続きの仕組みと経緯について説明がありました。

そこでは、本来予定されていた確認ができていなかったことが伝えられ、謝罪の言葉もありました。

その説明を受けて、私はようやく何が起きていたのかを理解することができました。

私が求めていたのは、まさにそのような事実確認と説明でした。

だからこそ、最初からこのような対応があれば、あのやり取りは必要なかったのかもしれないと思いました。

もちろん、最初に返信したリーダーが、どこまで事情を把握していたのかはわかりません。

ただ、少なくとも返信の中には、手続きの経緯について具体的な確認結果が示されていませんでした。

説明する前に、確認する。

反論する前に、聴く。

当たり前のようですが、感情が動いているときほど、難しいことなのかもしれません。

今回の経験を通して、苦情対応におけるリーダーの最初の一言が、どれほど大切なのかを実感しました。

苦情対応では、リーダーが最初にどのような言葉を伝えるかが、その後の信頼関係にも影響します。

苦情対応で問われるリーダーの姿勢

リーダーが発する言葉には、組織を代表する重みがあります。

その一言が安心感につながることもあれば、これまで築いてきた信頼を揺るがすこともあります。

今回、私が残念に感じたのは、考え方が違ったことではありません。

組織のルールや運営方針が、自分の常識と違っていたことでもありません。

問題の経緯について説明を受ける前に、自分自身の姿勢を問われるようなやり取りになってしまったこと。

そこに、対話の難しさを感じました。

リーダーは、組織を守る立場にあります。

でも、組織を守ることは、自分たちの正しさを証明することではないはずです。

相手の声にも耳を傾け、必要なことを確認し、問題があれば改善につなげる。

その姿勢こそが、組織への信頼を育てるのではないでしょうか。

残念な経験も、よい勉強になった

今回の出来事は、私にとって残念な経験でした。

でも、自分自身の関わり方を振り返る機会にもなりました。

私も管理職として、いつも完璧な対応ができていたわけではありません。

部下を守ろうとするあまり、相手の話を十分に聴けなかったこともあったかもしれません。

自分の経験や価値観を、相手にも当てはめてしまったことがあったかもしれません。

だからこそ、今回の経験を通して、自分自身にも問いかけたいと思います。

私は、相手の話を最後まで聴けているだろうか。

事実を確認する前に、判断していないだろうか。

自分の立場や考えを守ることが、目的になっていないだろうか。

信頼されるリーダーとは、自分の正しさを証明する人ではなく、問題に誠実に向き合える人。

人は、素晴らしい対応から学ぶこともあれば、残念だと感じた対応から学ぶこともあります。

今回も、そんな意味では、よい勉強になりました。

そして、もうひとつ考えたことがあります。

それは、リーダーの姿勢が、そこに集まる人や組織の文化にどのような影響を与えるのかということです。

このことについては、次回、あらためて考えてみたいと思います。🌿

苦情対応は、リーダー自身の対話力や誠実さを振り返る機会でもあるのだと思います。