なぜ1on1をしても本音が出てこないのか

~ 本当に必要なのは質問力ではなく関係性かもしれない ~

最近、多くの企業で1on1が導入されています。

離職防止。

人材育成。

心理的安全性。

エンゲージメント向上。

さまざまな目的があります。

そして書店に行けば、

「本音を引き出す質問」

「部下との面談術」

「質の高い1on1」

そんな本がたくさん並んでいます。

もちろん、

質問は大切です。

でも私は、

少し違うことを思っています。

本音は、

質の良い質問から生まれるのでしょうか。


私は人材業界で30年間仕事をしてきました。

管理職としても、

数えきれないほどの面談をしてきました。

その経験から思うことがあります。

本音は、

質問から生まれるものではなく、

関係性から生まれるものではないかと。


上司との面談は誰のための時間なのか

上司との面談は、

部下にとってどんな時間でしょうか。

忙しい時に時間を取られて、

正直面倒だと思っている人もいるかもしれません。

一方で、

やっと話せる時間ができた。

聞いてほしいことがたくさんある。

何から話そう。

そんな気持ちで面談に来る人もいます。

同じ1時間でも、

見ている景色はまったく違います。


そして、

上司にも上司の事情があります。

日々の業務から時間を確保する。

面談内容を整理する。

何かアドバイスをしなければ。

成果につながる話をしなければ。

そんなプレッシャーを感じている人も少なくありません。

つまり、

1on1という時間には、

上司の思いと部下の思い、

両方が存在しているのです。


部下は

「話を聞いてほしい」

と思っている。

上司は

「課題を解決しよう」

と思っている。

部下は

「気持ちを整理したい」

と思っている。

上司は

「何か良いアドバイスをしなければ」

と思っている。

だから時々、

噛み合わないことがあります。


支店長になって心に決めたこと

支店長になって、

いくつか心に決めたことがあります。

その中のひとつが、

面談の時だけ話を聞こうとしないことでした。

本音というのは、

1on1の場で突然出てくるものではありません。

だから私は、

できるだけ毎日、

全員に声をかけるようにしていました。

「体調どう?」

「昨日の件、その後どうなった?」

「最近忙しそうだけど大丈夫?」

そんな何気ない会話です。

そして、

できるだけ感謝も伝えるようにしていました。

「あの件、ありがとう」

「助かったよ」

「よく気づいてくれたね」

そういう積み重ねがあるからこそ、

いざという時に本音が出てくるのだと思っています。


1on1が本当に必要な理由

私は、

1on1の目的は問題解決だけではないと思っています。

本音を話せる関係をつくること。

安心して相談できる環境をつくること。

お互いの見ている景色を知ること。

そのための時間なのではないでしょうか。

人は、

安心できる場所があるから話せます。

理解されると思えるから話せます。

話せるようになると、

挑戦できるようになります。

挑戦できるようになると、

成長できます。

そして、

安心して相談できる組織は、

人が辞めにくい組織にもなります。


今だからこそ大切なこと

最近は、

個人情報やプライバシーへの配慮もあり、

以前より声をかけづらくなったと感じることがあります。

どこまで聞いていいのだろう。

踏み込みすぎではないだろうか。

そんな迷いを持つ方も少なくないと思います。

もちろん、

相手の領域を尊重することは大切です。

でも私は、

だからこそ日頃の関係性がますます大切になっているように感じています。

普段から声をかけてもらえている。

気にかけてもらえている。

認めてもらえている。

そんな積み重ねがあるからこそ、

困った時に相談できるのだと思います。

特別な面談より、

何気ない会話。

立派なアドバイスより、

「最近どう?」

のひと言。

相談できる関係は、

日常の中で少しずつ育っていくものなのかもしれません。


子どもも大人も同じ

これは子どもたちも同じです。

「何かあったら言ってね」

と言われても、

普段話を聞いてもらえていなければ、

なかなか話せません。

反対に、

日頃から気にかけてもらえていると、

困った時に話せるようになります。

だから私は、

子どもの絵を大切にしています。

言葉にならない気持ちが、

絵には表れることがあるからです。

大人も子どもも、

本音を話せるかどうかは、

安心感と信頼関係によって大きく変わるのだと思います。


おわりに

私は、

1on1のゴールは

「良い質問をすること」

ではないと思っています。

本音を引き出すことでもありません。

安心して話せる関係をつくること。

相談できる関係を育てること。

そして、

困った時にひとりで抱え込まなくていいと思えること。

その結果として、

本音が生まれ、

挑戦が生まれ、

成長が生まれるのだと思います。

本音は質問から生まれるのではなく、

関係性から生まれる。

私はそう信じています。


研修のご案内

私は現在、

離職防止・心理的安全性・管理職支援をテーマに、

企業研修を行っています。

制度や評価だけではなく、

「安心して話せる関係性」

「本音に気づく対話」

「人が育つ関わり方」

を大切にしています。

🌿 社員が辞めない組織づくり研修
https://x.gd/4YqDi

離職防止、心理的安全性、管理職支援などをテーマに、
安心して話せる組織づくりをお手伝いしています。

🌿 絵と対話で本音を引き出すファシリテーター養成講座
https://kodomonoe-facilitator.hp.peraichi.com/

対話を通して人の可能性を引き出したい方へ。

🌿 「子どもの絵」心理カウンセラー養成講座
https://5r41s.hp.peraichi.com/

子どものサインに気づき、
心に寄り添える大人を増やしたいと思っています。